健康情報

2019.10.30生活習慣病シリーズ ~②脂質異常症~

前回の生活習慣病は「高血圧について」でしたが理解は深まったでしょうか?今回は身体の中の「アブラ」について解説していきます。

コレステロールと中性脂肪

コレステロールや中性脂肪は体内にある「アブラ/脂質」の1種です。これらは決して悪者ではなく、身体の機能を正常に働かせるために必ず必要となる物質です。

 ・コレステロール・・・コレステロールは細胞膜の材料、性ホルモンなどのホルモンの原料、胆汁の主成分といった主な役割があります。

では、TVなどでよく見かけるHDL(善玉)コレステロールLDL(悪玉)コレステロールにはどのような違いがあるのでしょうか? 肝臓では全コレステロールの2/3が生産されています。残りは食事からの摂取です。血液中のコレステロールは、どのたんぱく質に結合しているかで働きが変わってくるのです。

 ・LDL(悪玉)コレステロール・・・肝臓から全身へコレステロールを運びます。動脈硬化の原因とされるため、マイナスイメージがついています。

 ・HDL(善玉)コレステロール・・全身から肝臓へコレステロールを運びます。今度は逆に動脈硬化を防ぐ働きをもっています。

今度は中性脂肪(トリグリセライド)についてです。

 ・中性脂肪(TG)・・・中性脂肪は肥満の原因ですが、私たちの活動するエネルギー源であり、糖分や脂肪酸を材料に肝臓で産生されます。産生された中性脂肪は肝臓や脂肪組織に蓄えられることで、内臓脂肪や皮下脂肪になります。アルコールは食欲を高め、内臓脂肪の蓄積を促すホルモンを分泌させます。そして肝臓で分解されるときに、飲んだ量に比例して中性脂肪の合成が進むこともわかっており、血液中の中性脂肪が増加します。その結果、HDLコレステロールが減少してしまうのです。

Ⅱ.脂質異常症と動脈硬化

  血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が増えすぎた結果、HDLコレステロールが減少する症状を脂質異常症といいます。また、LDLコレステロールが多く血管に溜まって固くなった状態を動脈硬化といいます。どちらの病気も、症状が表れないため血液検査などで発見するしかありません。

ではこれらの病気は何がいけないのでしょうか?答えは前回の高血圧の末期と似ています。正解は心・血管イベントです。つまり、脳梗塞心筋梗塞狭心症など血管の詰まる病気にかかりやすくなります。

Ⅲ.原因はなんでしょう? 

  1. 生活習慣の乱れ・・・生活習慣病全般に見られます。特に食生活が一番の原因です。
  2. 体質(遺伝性疾患)・・・家族性の遺伝があります。
  3. 喫煙・・・煙草に含まれる一酸化炭素が動脈硬化を進行させます。(酸欠)
  4. その他の影響・・・他疾患から派生するものもあります。 

 

Ⅲ.診断基準と疾患のタイプ

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150 mg/dL以上 高トリグリセライド血症
Non- HDLコレステロール 170 mg/dL以上 高non- HDLコレステロール血症
150~169 mg/dL 境界域高non- HDLコレステロール血症

 

大まかにはこのような診断基準が存在します。特定健診などで早めに検査しましょう。

Ⅳ.予防のためには

なにはともあれ、食事療法がまず第一です。治療でも最初は食事の内容の変更からはじめます。ポイントは食べ過ぎないことです

現代人の食事は、普通に食べているつもりでも、カロリー過多になりがちです。その理由は、おかずに肉類や揚げ物類など高カロリーのメニューが増えたことです。また、間食でケーキなどの甘いものを食べる機会が増え、慢性的にカロリー過多になっているといえます。
主食の穀物類(ご飯、パンなど)には脂質が少ないので、まず主食をきちんと食べること。そして動物性脂肪(とくに肉類)を少しひかえめにしましょう。牛肉や豚肉を食べるときにはロースよりもヒレを、また鶏肉の場合には皮を食べないようにするだけでも、脂質をかなり減らすことができます。

適正エネルギー摂取量=(標準体重(身長×身長×22))×25~30kcl  を目安にしてください。

また、栄養バランスも大切で、食物繊維を多く含む海藻やビタミンを多く含む緑黄色野菜などを積極的に摂取しましょう。肉よりも魚の脂肪(特に青魚)はLDLコレステロールや中性脂肪を減らしてくれますので、こちらもおすすめです。

Ⅴ.終わりに

食生活の欧米化が脂質異常症患者を多く生み出している原因です。また、ライフスタイルの変化から、食事内容も偏ったものになりがちです。未来の自分に健康を残す意味から、人生100年時代と言われる日本で一人一人がちょっとした意識を持つことが大切だと考えます。

なごみ薬局グループでは、患者様の健康サポートとして栄養管理についての相談も行っております。お気軽にご相談ください。