健康情報
2025.04.21アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は赤ちゃんから大人まで悩まされる病気です。
また、その症状によって引き起こされる肌の乾燥や色素沈着にも注目し、原因と対策を学んでいきましょう。
アトピー性皮膚炎の原因と病態
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される病気です。家系的な遺伝的異常により皮膚の『バリア機能』が低下していることや皮膚に炎症が起きやすくなることが分かっています。外からアレルゲン(アレルギーの原因物質)などの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と合体して、炎症を引き起こします。(IgE抗体とT細胞の反応)
アトピー性皮膚炎は、特定の物質に対するアレルギーではありませんが、喘息と花粉症を併発しやすく、これらを合わせてアトピー三徴候と呼ばれます。
また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、かゆみを感じやすい状態となっています。掻くことでさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
なお、アトピー性皮膚炎は人に移る病気ではありません。
アトピー性皮膚炎は通常、乳児期(早ければ生後3カ月頃)に始まります。
・早期(急性期)には、身体の左右対称にじくじくしてかさぶたを伴う赤い発疹ができ、水疱を伴うこともあります。多くの場合、かゆみは強いです。
・慢性期(後期)には、かいたり、こすったりすることで、皮膚が厚くなり(苔癬化[たいせんか])、ゴワゴワとした状態になります。
上記の再発と軽快のサイクルを繰り返すことが基本です。湿疹部位にはヘルペスなどの二次感染症のリスクもあります。
乳児~幼児では、顔面の発疹が首、まぶた、頭皮、手、腕、足、脚の順に広がります。体の広い範囲に生じることもあります。
小児~成人では、発疹が1カ所のみ、または数カ所に繰り返しできることが多く、特に首の前面、肘の内側、膝の裏によく現れます。(大人のほうがかゆみは強いとされます)
治療と予防策は?
- かゆみを緩和する対策 ➡ 一番効果的なのは『冷やす』ことです。とにかく掻きむしると永遠に症状は落ち着きません。また、汗やペットの毛などのアレルゲンを避けることも効果的です。
- スキンケア ➡ 入浴後は必ず保湿を行いましょう。セラミド配合の保湿剤が推奨されます。入
- ステロイド外用薬 ➡ 治療の第一選択薬(皮膚科で最初にもらうお薬です)
- カルシニューリン阻害薬 ➡ タクロリムス軟膏 ※2歳以上で使用可
- PDE4阻害薬 ➡ モイゼルト軟膏(ジファミラスト)※生後3ヶ月以上で使用可
- JAK阻害薬 ➡ コレクチム軟膏(デルゴシチニブ) ※生後6ヶ月以上で使用可
経口薬の場合はオルミエント®が2歳から服用可能 - 光線療法 ➡ ナローバンドUVBという紫外線の一種を照射します。日光浴でもある程度同様の効果があります。
- 生物学的製剤 ➡デュピクセント®、アドトラーザ®、ミチーガ®
- 抗菌薬や抗ウイルス薬 ➡ 黄色ブドウ球菌などが原因のこともあります。
日常生活の工夫も大切です
アトピー性皮膚炎は根本的な治癒は難しい病気ですが、適切な治療とスキンケア、生活習慣の改善によって症状をコントロールすることが可能です。
治療においては、かゆみの悪循環を断ち切ることが非常に重要です。
皮膚科での治療と並行して、日常のスキンケアや環境整備も欠かせません。
なごみ薬局のグループでは、アトピー性皮膚炎に関するご相談も随時受け付けています。
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