健康情報

2025.10.15マンジャロ皮下注について知っておいてほしこと

近年、マンジャロ皮下注(Mounjaro®)という糖尿病治療薬が、各種SNSなどで「痩せる注射」「最新ダイエット薬」として話題になっています。

確かにマンジャロには体重減少効果が報告されていますが、美容目的・自己判断での使用は大変危険です。ここでは薬剤師の立場から、正しい情報と注意点をお伝えします。


■ マンジャロとは本来「糖尿病の薬」です

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2型糖尿病の治療薬として開発されました。従来のGLP-1受容体作動薬に加え、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)作用も併せ持つ“持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬”として位置づけられており、血糖コントロールを助けるだけでなく、体重減少効果にも注目されています

確かに臨床試験では「体重が減少した」という報告もありますが、これはあくまで糖尿病患者の血糖改善に伴う生理的変化であり、美容やダイエットを目的に設計された薬ではありません。


■ 「痩せる注射」として安易に使うリスク

⚠ 1. 低血糖・意識障害の危険

糖尿病ではない人がマンジャロを使うと、血糖値が下がりすぎることがあります。軽度では「ふらつき」「冷や汗」「手の震え」、重度では意識喪失やけいれんを起こすおそれがあります。

⚠ 2. 強い吐き気・嘔吐・脱水

食欲低下や満腹感が強く出すぎると、栄養や水分が取れなくなり、脱水や電解質異常、腎機能の悪化につながることがあります。

⚠ 3. 膵炎・胆石などのリスク

GLP-1系薬剤により膵炎や胆のう疾患が起こることがあります。突然の腹痛や背部痛、嘔吐がある場合はすぐに受診を。

⚠ 4. 偽造薬の危険性

個人輸入やSNS販売には偽物のマンジャロが多数出回っています。不純物混入や濃度不明の薬を体に注射することは極めて危険です。

⚠ 5. ホルモン・代謝バランスの乱れ

健康な人が長期使用すると、ホルモンや代謝リズムが乱れ、リバウンドやホルモン異常を起こすことがあります。


■ 医師の管理下でのみ使用すべき薬

マンジャロは、糖尿病治療における医師の指導下でのみ使用が認められています。美容目的での使用は日本では承認されていません(適応外使用)
また、日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医の下で使用する方がはるかに安全です。

見た目の変化よりも、体の中のバランスを崩すリスクのほうが大きいことを忘れないでください。


■ ダイエットを考えるなら、まず普段の生活の改善から

体重を減らしたいと感じる背景には、
・食事バランスの乱れ
・ストレスや睡眠不足
・運動不足
など、日常の積み重ねが関係しています。

薬に頼る前に、食事・運動・生活リズムの見直しが第一歩です。


■ まとめ

❌やってはいけないこと ✅正しい考え方
SNSや通販でマンジャロを購入 医師・薬剤師の指導下でのみ使用
美容・ダイエット目的での注射 糖尿病治療目的のみで使用
短期間で痩せようと自己判断 生活改善+医療相談で安全に

■ 最後に

マンジャロは非常に有用な薬ですが、使う人・使い方を誤ると命に関わるリスクがあります。
美容やダイエットを目的とした自己注射は絶対にやめましょう。

体重や代謝に関して気になることがあれば、まずは医師や薬剤師にご相談ください。
なごみ薬局グループでは、健康的なダイエットや糖代謝に関するご相談をいつでも受け付けています。