健康情報
2023.04.18女性ホルモンとエクオールについて
女性ホルモンは性ホルモンの1つであり、生殖機能や身体の健康に深く関わっています。
今回は年齢と共に変化していく女性ホルモンの影響について簡単に学んでいきましょう。
女性ホルモンとは?
多くの書籍や広告などで目にする「女性ホルモン」ですが、実際には2種類のホルモンの総称です。
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つが身体機能に影響しているので、まとめて扱われることがほとんどです。
しかし、それぞれのホルモンの機能は異なっており、どちらも重要なホルモンであることに変わりません。以下はそれぞれのホルモンの機能です。
エストロゲンの機能
子宮に作用して、受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする。女性らしい身体を作るホルモンとして、乳房の発達、皮膚、骨、血管、筋肉、脳、自律神経などに作用する。コレステロール値を正常化させる。動脈硬化を抑制する。骨密度を高める。思春期から分泌量が増加し、30歳代でピークに達し、更年期になると減少する。
プロゲステロンの機能
子宮内膜を受精卵が着床しやすいよう妊娠環境を作る。妊娠していない場合は子宮内膜を排出させる。基礎体温を上昇させる。妊娠をサポートする。血糖値を正常化する。食欲を増進させる。体脂肪を減少させる。乳腺を発達させる。
4つのライフステージと女性ホルモンの関係
女性は一生の間に4つのライフステージを経験します。8~9歳頃からエストロゲンの分泌が増加しはじめ、12歳前後で初潮(思春期)を迎えます。20~30歳代(性成熟期)は、女性ホルモンが最も安定するピークです。40歳代(更年期)から急激にエストロゲンが減少し、その変化にココロとカラダがついていけない場合には、不調も起こるようになります。そして更年期以降は、さらにケアが大切な老年期を迎えます。骨粗鬆症になりやすくなったり、代謝が落ちて太りやすくなったり。それまで、女性ホルモンによって良好に保たれていたカラダの機能に影響が出てきます。
つまり、女性が内面から美しく、健康に過ごしていくためには女性ホルモンの働きが欠かせません。 同時に、不調が現れたり消えたりするのも、女性ホルモンの影響があるといえます。
女性ホルモンの減少と身体への影響
女性ホルモンは脳から卵巣へ命令を出して分泌をコントロールしています。更年期になると、受け手側の卵巣機能が低下するため、脳がパニックを起こします。それが繰り返されると、自律神経が乱れ、身体の各機能のバランスを失いやすくなります。
起こりうる症状一覧
・血管運動症状(ほてり、のぼせ、発汗、動悸、息切れ、疲労感、冷え)
・精神神経症状(イライラ、不安、不眠、抑うつ、無気力、めまい、耳鳴り、頭痛)
・関節などの症状(腰痛、関節痛、手指の痛み・変形、肩こり)
・消化器症状(食欲不振、便秘、吐き気)
・皮膚症状(乾燥、かゆみ、湿疹、ドライマウス・薄髪・シワの増加)
近年では手指変形や痛み・痺れなども更年期症状のひとつと考えられています。
ただし、環境や身体能力によって発症する症状は個人差があります。
いつまでもイキイキとした生活を送るには
女性ホルモンは分泌量が低下した場合、補充することが治療の一つとして挙げられます。
ホルモン補充療法(HRT)といい、HRTに使うホルモン剤は種類が豊富であるため、症状や生活環境により使い分けができます。内服薬のほかに、皮膚に貼るパッチ剤や皮膚に塗るジェル剤もあります。
また、漢方薬で体質改善を図る方法もあります。
食生活において、積極的に摂取すると良い食品があります。
それは「大豆」です。大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内細菌によって代謝(変換)されることで「エクオール」という物質が産生されます。この「エクオール」には女性ホルモンに類似した作用があることが、研究により解明されています。
ただし、「エクオール」を産生する能力は個人によって異なります。女性では約半数が産生できません。また、若年層では20~30%の割合に低下します。
更年期症状を軽減することに関わり、「エクオール」の産生能力が高い人ほど症状は予防しやすいです。ただし、作れる人も作れない人も大豆製品の摂取量が不足しがちです。そのような方はサプリメントを使用するといいでしょう。
腸内で作られたエクオールは体内をめぐり、1~2日で尿中に排泄されます。エクオールの産生能の測定には尿の採取で可能になるということです。
手指の痛みは50歳前後から、変形は60歳前後から多く、適切な治療法が実施されにくいことが現状です。エストロゲン補充療法(HRT)は更年期症状の緩和が期待できますが、既に発症している、手指の変形や痛みには効果が薄いことが報告されています。
しかし、エクオールを毎日10㎎ずつ3か月摂取で手指の痛みや腫れの症状の改善をできることがわかっています。
(出典:平瀬雄一 女性疾患としての手の痛み.日本女性医会誌,25(2):307-311,2018.)
また、エクオールの効果は他にも抗酸化作用・シワの改善・メタボリックシンドロームの予防などが報告されています。
20~30代から積極的に摂取することで普段の健康と更年期に備えることができます。月経前症候群(PMS)の改善も期待できることから、更年期の方だけでなく若い方も摂取が推奨されています。
なごみ薬局グループでは女性の健康相談にも応じております。サプリメントや食生活についても多角的なアドバイスが可能ですので、お気軽にご相談ください。