健康情報

2021.02.20生活習慣病シリーズ ~④がん~

今回は、日本人の死因第一位である「がん」について学んでいきましょう。

「がん」と生活習慣は関係あるのかと思われる方もいらっしゃいますが、実は「がん」の形成と生活習慣は大きく関わり合っています。食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、休養の程度など発症や進行に関わるものが生活習慣病であるため、「がん」もまた生活習慣病の一つとして挙げられるのです。実際に厚生労働省における解釈も「脳卒中」、「がん」、「心臓病」を、生活習慣という要素に着目して捉え直した用語と位置づけられます。過去に「成人病」と言われたものは`加齢`に着目しており、生活習慣病との概念は異なります。

つまり、`生活習慣に着目した疾病概念の導入にあたっては、「生活習慣病(life-style related diseases)」という呼称を用い、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切であると考えられる`ということから「がん」も生活習慣の見直しによっては防げる可能性が高いということになります

※WHO(世界保健機関)においても「NCDs(非感染性疾患)」を似たような概念として提唱されています。ここには慢性閉塞性肺疾患なども含まれてきます

がんとは何か


まず、「がん」とは正常な細胞の遺伝子に傷がつき、異常な増殖を繰り返す細胞のことを指します。悪性腫瘍という言い方もされますが、こちらは医学的用語です。

現在の日本では2人に1人が何かしらのがんを発症すると言われています。がんは完全には防げませんが発症のリスクを抑えることは可能です。遺伝子の損傷が「がん」の発生要因となるため、食生活や飲酒・喫煙・薬物使用・運動不足・心理的ストレスなどを見直すことが予防につながります。うつる病気ではありませんが、遺伝することはあります。

国立がん研究センターより引用(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html)

がんの発生の仕組みは図をご覧ください。

がん細胞は正常な全身的な新陳代謝のバランス無視し、勝手に増殖を続けます。この増殖を助けるのが「がん遺伝子」と呼ばれる存在です。浸潤と転移をするがん細胞が発生部位周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに散らばり(転移)し、次から次へと新しいがん組織を作り上げるのです。ただし、逆にがん細胞の増殖を抑える「がん抑制遺伝子」というものも存在しており、これが正常なバランスを守る存在だと考えられています。この「がん抑制遺伝子」の研究が進めば、「がん」の発症をなくすこともできるかもしれません。

 

 

がんの治療法


がんの治療は大きく分けて3つに分類されます。

手術
手術では、がんが発生した部位(原発巣)、がんが転移していると考えられる転移巣(リンパ節や臓器など)を取り除きます。手術の目的は、がんを完全に取り除くことですが、がんによる症状を和らげるという側面もあります。手術の方法としては、メスでからだを切開する方法に加え、内視鏡や腹腔鏡などによる身体への負担が少ない方法もあります。手術後の合併症として、感染症や出血などが起こることがあります。白血病など血液のがんの治療法としては造血幹細胞移植という方法もあります。
放射線療法
放射線療法では、がん細胞を死滅させたり、がんによる症状を和らげたりするためにがんに放射線を当てる治療法です。治療方法はがんの種類や状態によりますが、からだの外側から放射線を当てる外部照射のほか、放射線を発する器具を体内のがんの周辺において放射線を当てる組織内照射といった方法もあります。手術で身体を傷つけることようなことはなく、ほとんどの患者さんは通院で治療を受け、多くは通常の日常生活を続けることができます。副作用には、治療中や治療直後に現れる副作用と、治療終了後にかなり時間がたってから現れる副作用があります。
薬物療法
薬物療法は、局所療法では対応できないようながんに対する全身療法の一つです。化学療法や分子標的治療薬、ホルモン剤などの薬を使って治療します。近年では様々な治療薬が進出してきているため、がんの治療薬として推奨される薬物は目まぐるしく変化しています。その時に最善な治療薬を標準治療としているため、承認されていない治療薬は自己責任で使用することになります。(先進医療)


 

今回は「がん」について学んでいきましたがいかがでしょうか。生活習慣の見直しを、この「今」から変えるだけでも変化が現れるはずです。医薬品だけでなく生活習慣の相談もなごみ薬局グループでは受けつけております。皆様のご来局をお待ちしております。